為替変動に影響を与えた世界情勢は、大別しますと通貨危機と通貨の切り上げ、経済的なショックの勃発などに分けられます。
そこで、為替変動に影響を与えた世界情勢を遡りながら見ていきます。
まず、最初は足元の「欧州債務危機」で、「欧州債務危機」を発端として欧米経済の減速懸念を受けた世界的な株安の結果、消去法的に円と日本国債が買われました。
2012年10月27日にロンドンとニューヨークで1ドル=75.67円を付け、3日連続(10月26日ロンドン市場75.71円・10月25日ニューヨーク市場75.73円)で円は最高値を更新しました。
「欧州債務危機」の連鎖は次の様な形でした。
まず、ギリシャの財政危機が悪化しギリシャ国債とユーロが売られます。
次に、ギリシャ国債を保有しているドイツ・フランス・イタリアなどの金融機関の株価が下落します。
その影響がニューヨーク市場に飛び火し、ドルやニューヨーク市場の株価が下落します。
その結果、消去法的に円と日本国債が買われた訳です。
つまり、「欧州債務危機」を発端として「FLY TO QUALITY 質への逃避」が起きた訳です。
日本国内から見れば日本の財政赤字は、ギリシャよりも酷い状態で何故円や日本国債のQUALITYが良いと判断されるのか甚だ疑問ですが、実際にはその様な理由で円と日本国債が買われました。
そして、同様のことが何度も繰り返された訳です。
その結果、一時はユーロの信認が問われるところまで追い込まれました。
また、当事者のギリシャの国民が緊縮財政を嫌ってユーロ離脱も視野に入れたため、ギリシャは国民投票を行う土俵際まで追い詰められましたが、辛うじてユーロに残る道を選択しました。
只、「欧州債務危機」の根本的な要因は未だ解消されておらず、特に、9月上旬のECB理事会が注目されます。