長い為替の歴史は円高の歴史でもありますが、全ての円高要因は海外発の要因でした。
しかし、唯一、2011年3月11日に発生した東日本大震災によって、3月17日には1ドル=76.25円まで円高が進みました。
日本の大企業が円資金を確保することを見込んで外貨を売って円を買ったことが円高の原因と言われていますが、真偽のほどはわかりません。
現実問題として冷静に考えると、現在、大企業は200兆円を超える手元資金を持っていますし、金融機関も金余りによって膨大な資金の運用に困る状態です。
従って、実際に東日本大震災後に、大企業や金融機関がドル売り円買いやユーロ売り円買いに走ったとは思えません。
普通に考えれば兆円単位の被害が出たことは確実で、原発事故まで起こした日本の状況は国難とも言える状況におかれ、円が売られても不思議ではありませんでした。
従って、東日本大震災の発生によって、円高を仕掛けた筋があるような気がしてなりません。
次に2010年に遡りますと、2010年5月21日に1ユーロ=108円の円高となりました。
このユーロ安円高は、「ギリシャの財政危機」を背景にユーロが売られ、金融市場が動揺して5月21日に世界同時株安の状況に陥りました。
その結果、消去法的に円が買われ、8月には一時、1ドル=83円台の円高となりました。
つまり、今年の円高の構図が2年前の2010年5月には既にできていた訳です。
そして、2009年に遡りますと、2009年11月27日に1ドル=87.87円・1ユーロ=129.03円までの円高が進みました。
中東ドバイに於いて不動産バブルが崩壊し金融機関や企業の資金繰りが悪化しました。
いわゆる「ドバイショック」によって比較的安定していた円が買われ、ドバイの企業に融資していた欧州の銀行の株価が下落しニューヨークにも飛び火しました。